Interview【後編】
AYANAさん|ビューティライター
ビューティライターAYANAさんに、美容に関するこだわりやネイルへの思いについて語っていただいているインタビュー。後編ではジェルネイル初体験というAYANAさんに、7nanaの印象や、実際に付けてみて感じたことをお聞きしました。
取材・文:岸野恵加
写真・動画:石川昂樹
前編:「アーティストではなくマーケティング脳」
初めてのジェルネイルシールは「おしゃれなスニーカーみたい」
―先ほど「ネイルには苦手意識があった」という発言もありましたが、具体的には、これまでネイルとどのように付き合ってきましたか?
ネイルの文化ってこれまでずっと、ピンクでリボンでキラキラで……スカルプにラインストーンをたくさん付けたりという、ギャル文化寄りというか、派手なものが多かったですよね。そうしたものは自分には馴染まないと思っていたから、「ネイルサロンとかはあまり興味ないな」と思っていたんですよ。「こののネイルかわいいな」とネイルポリッシュそのもののビジュアル自体に惹かれて買うことはありましたけど、それを自分で塗るかというと全然塗らなかったり(笑)。「手にして眺めたい」で集めて終わってしまうというか……。すぐ剥げてきちゃうからケアも大変で、自分には無理だなとずっと思っていました。でもそんなネイルの世界もちょっと流れが変わってきたと感じたのが、10年前くらいですかね。アート寄りなネイルが出てきた頃。
―「7nana」のプロデュースを手がけているネイリストの上原渚さんは、ちょうどその頃に独立されたんですよね。
上原渚:まさにその頃、コンサバやギャルといったイメージとは異なる青文字系の文脈のヘアサロン併設のサロンが出来始めたり、雑誌「FUDGE」のネイルムックが出たあたりから、ネイル業界のムードが変わってきたと思います。Instagramでネイリスト個人が発信を始めたことも影響していると思いますね。業界に身を置いてるにもかかわらず、私も日本のネイルのテイストが苦手で、変えたいという思いをずっと持ってきて。なのであの頃の変化はすごく嬉しかったですね。
あの頃出てきた雰囲気はなんと言ったらいいんですかね。原宿のVACANTあたりのムードというか……カルチャーの香りがすごく漂うデザイン。あそこからネイルのデザインがすごく世界が広がった印象です。5年くらい前には、爪全体を塗らずにランダムにいろんなカラーを塗るような塗り方も流行ったり。ネイルのブランドもすごく増えましたよね。近年では、コロナ禍によってサロンに行きづらくなってしまい、セルフネイルに移行する、という流れも生まれている気がします。SNSの流行とも密着して、自作のデザインがどんどん洗練されてきて。OSAJIのネイルもおそらくそういう方にご支持いただいているのかなと思います。

―今日は「7nana」のジェルネイルシールを試していただきましたが、いかがでしたか?
実は私、ジェルネイル自体をやったことがなくて。サロンに行ったこともないので、この「7nana」が初めてなんです。ジェルをやってみたいと思いながらも、ネイルの開発をしているから塗り直す機会も多いし、爪も弱いし……という感じでここまで来てしまいました。
―そうだったんですね! 初めてのジェル体験が「7nana」とは光栄です。
正直付けるのが難しいのかなと思っていたんですけど、シールを貼って、トップコートを塗って、ライトで硬化させて……と進めて完成させたら、艶がすごくきれいで。「これはテンション上がるな」と、ジェルの魅力を感じました。丈夫な感じも嬉しいです。水仕事をよくするのですが、剥げたり欠けたりということもしにくそうです。

―安心感がありますよね。
はい。とにかく簡単にできるのがいいなと思いました。サロンで10本やろうと思ったらある程度の時間が必要ですが、このシールは1本だけでも数本からでもやることができるから手軽だなと。忙しい人にはとても良いですよね。
―今日は「005 focus」を選んでいらっしゃいましたが、デザイン面にはどのような印象を抱きましたか?
おしゃれですよね。さっきお話した、ネイルのデザインの革命期からのムードを感じます。アートが好きな方はネイルもお好きな場合が多いと思うんですが、そういう方にも喜んでもらえそうなデザインだなと。物語感というか、詩的なものを感じました。幅広くどんな方にも使ってもらえそうな印象もありますし。

上原 そこはまさに意識したところなんです。ジェルネイルシールは韓国発祥のものなんですが、「7nana」では日本人が好きそうなデザインにこだわって。また、パーソナルカラーにとらわれず、年代や肌色問わず誰でも使えるような色にすることをとても意識しました。
おしゃれなスニーカーとちょっと近いかも、と思いました。カジュアルに履けて快適で、いろんな服に合わせられるし、ちゃんとデザイン性もある。気取らずに使えてすごくいいですよね。パッケージデザインもすごく好きです。量販店にも馴染むだろうし、NADiffみたいなアートグッズのお店にあっても自然だろうなって。ギフトにするのもいいですよね。個人的には、ジェルネイルへのハードルがすごく下がりました。
―最後に、ネイルというものはどのような存在だと思いますか。
爪が顔から離れている部位だということはすごく大きいと思います。メイクだと顔にまつわるコンプレックスが影響してくることもありますけど、ネイルは純粋に「愛でる」ことができるものですよね。あと今はスマホやキーボードの操作で手元を見る機会が多くなったと思うんですが、爪に色や艶があると、心の栄養になりますよね。メイクはそうじゃないんですよ。他人に向けた、コミュニケーションの意味合いが強い。でもネイルは自分で眺めて楽しむ機会が多いもの。ジュエリーに近いかなと思います。色の制限もないので、何色でも乗せられますし。
―すごく自由な世界ですよね。
あと、小さいというのもいいと思います。限られた世界に工夫を凝らすというのが、日本人的にはグッとくるのかなと。食玩のミニチュアとかご当地キティとか、小さくて細かいものを愛でるのは日本の国民性だと私は思っているんですけど、ネイルってそこにすごくフィットするのかなって。メイクに興味がなくてもネイルにすごく凝っている方もたくさんいますよね。無限の可能性が、この10本にはあると思います。


コラム、エッセイ、インタビュー、ブランドカタログなど広く執筆。化粧品メーカー企画開発職の経験を活かし、ブランディングや商品開発にも関わる。2021 年、エッセイ集『「美しい」のものさし』(双葉社)を上梓。
文章講座 EMOTIONAL WRITING METHOD(#エモ文)主宰、OSAJI メイクアップコレクションディレクター。
